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軽量チェストリグ2型が出来るまで

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チェストリグやプレートキャリアなど普段使っている物がどのようにして作られているか、気になることはないでしょうか。

見た目の形はほぼ同じでも、ギアのどの部分にどのような部材を使用してどのように縫製するかということで、タクティカルギアは作り手の特徴が大きく出るものです。タクティカルギアや作り手をより身近に感じていただくため、全てお伝えしきれないですが、製品を手に取るだけでは見ることの出来ない製品制作の裏側のごく一部をご紹介していきます。

今回は軽量チェストリグ2型の製造過程を追っていきながら、MIRAI TACTICAL WORKSの製品がどのようにして制作されているかをご紹介します。なお今回制作する軽量チェストリグは一般向けにマイナーチェンジされたもので、銃剣ホルダーの有無などが自衛隊向けモデルとは異なります。

製品の制作は、糸の準備→生地の切り出し→部品の制作→部品の縫い合わせ、という大まかな流れになります。制作する過程で、生地の切り出し→部品の制作→部品の縫い合わせは行ったり来たりしており、徐々に部品が大きくなっていき、最後には製品の形になります。

糸をシリコンに浸ける(1日干す。)

ナイロン糸は、伸縮が大きく縫製時にキンクになりやすいので、シリコンに浸けることで縫いやすくしています。シリコン浸けは、約2分の1缶のシリコンを糸にかけて、1日かけて浸透と乾燥をさせます。

生地の切り出しとチャコペン入れ

ハサミを入れている写真は、カマーバンド部分の切り出しです。
ペン入れをしている写真は、弾のうパネルになる生地に対して、板に穴を空けた二次元の定規のようなものを使って、切り出した後の生地にMOLLEの規格にウェビングを縫い付ける場所をマーキングしています。

タグの記入

タグへの記入は早い段階から行います。糸の太さなどを記入するようになっており、制作する早い段階から間違いが起きそうなものを確認するようにしています。

弾のうパネルの制作

フラップ生地の両脇にグログランテープを縫い付けて縁を処理します。さらに3連弾のうのフラップをグログランテープでつなげます。グログランテープを使用することで、フラップ部分を少しでも軽量にしています。

弾のうの水抜き穴は、レーザーで照準して位置を決めれば、機械が金具をはめてくれます。

金具をはめた生地を袋状に縫い付けて、フラップを合わせれば3連弾のうの完成です。弾のう側とパネルの取付け側に分かれるように折りたたんで、縫い合わせると完成です。ウェビングのカン止めは、失敗するとやり直しが効かない作業です。

チェストリグ正面の制作

一枚の生地に、チェストリグ正面に弾のうパネル取付け部分が来るようにウェビングを、メッシュ生地は裏面の体側になるように縫い付けます。そして、その一枚生地にベルクロを取り付けた生地を縫い合わせて、チェストリグ正面部分が出来上がります。チェストリグの正面には、中央パネルの体側にに袋が付いています。こちらの袋には、地図などを入れてご利用いただけます。自衛隊モデルは、ステッドラーペンなどのペン挿しにお使いいただけるウェビングが袋の中に付きます。

肩紐の制作

肩の緩衝材を入れる部分は、筒状に生地を縫製して、裏返すことで縁の処理をします。筒状になった空間には、肩への負担を軽減するクッション材を挿入します。軽量チェストリグ2型の肩の緩衝材は、BlackとCoyoteBrownとで厚みが若干異なり、生地の質感に合わせて厚みを変えるようにしています。

肩パッド部分にウェビングなどを縫い付けると、写真のような形になり、ほぼ完成した状態になります。

あとはユーティリティーポーチを取り付けるだけです。

ユーティリティーポーチの制作

ユーティリティーポーチも弾のうと同じように、フラップ部分と袋部分とに大きく分けて制作していきます。

ユーティリティーポーチのフラップは、弾のうのフラップを作る際に一緒に作っていました。切り出しの形状は同じなのですが、先の折り返し場所を変えることで、ユーティリティーポーチ用と弾のう用とで切り出した生地を使い分けることで、制作工程のシンプル化をしています。

 

軽量チェストリグ2型の完成

ユーティリティーポーチを取り付けると、軽量チェストリグ2型が完成です。

ファントムAKIBAラジ館店様の店頭に並んだ軽量チェストリグ2型です。

下の写真のように、ウェビングを端まで縫い込まずに切りっぱなしでカン止めしても、55301ナイロンウェビングだと十分な強度を出すことが出来ます。そのため、ウェビングの強度を活かして切りっぱなしにするように、部材の持ち味を生かして製品を制作することを意識しています。そうすることで部材の使用量が減り、軽量化出来るようにしています。

ナイロンウェビングをヒートカッターで焼き切るため、縁の処理もされています。

それぞれの製品一つ一つ、使用環境や使用方法を考えながら部材の持ち味を活かすように、強度を持たせたり、軽量化を図ったり、使いやすさを追求したギミックを入れたりと試行錯誤をしています。